入居したら最悪のモンスタークレーマー

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自宅を賃貸に回してリロケーションすることのメリット・デメリット

メリット(3)は、そのリロケーション会社に委託することによる恩恵です。仮に、入居者がモンスタークレーマータイプだと大家も対応が大変です。給湯器の調子がおかしい、床が少しきしむ、戸などの立て付けが悪い……と声高にいう人が少なくないのです。家賃不払いも数多い。

でも、しっかりしたリロケーション会社に任せれば、大家がやきもきすることはなくなるはずです。大家にとって大事なのは質の高いリロケーション会社を選択すること。いい会社は、入居者の書類審査(収入など)ではわからない人柄や性格などの適性もぬかりなくチェックします。その目利きのおかげで、クレーマー&家賃不払いの予備軍を事前に排除できるのです。

よって、大家になると決めたら、必ず何社かのリロケーション会社にあたり、入居審査の方法やクレーム対応のガイドラインの有無などをチェックすることをお勧めします。

メリット(4)は自宅を人に貸すことで、空き家にしなくてすむということです。人が住まなくなって掃除や換気をしなくなると、家の床や畳、押し入れなどにたちまちカビが発生してしまいます。それを放置したままでは家は劣化し、たちまち資産価値も下落の一途となるのです。

基本的に、大家は店子に退去を命令できない、フローリングの日焼けなど経年劣化に関しては原状回復の費用を持たなければならないといったデメリットはあるものの、空き家リスクを回避できるのは大きい。

なお、前出の管理委託は民間のリロケーション会社以外の選択肢もあります。一般社団法人の移住・住みかえ支援機構「マイホーム借上げ制度」は、50歳以上の人の持ち家を終身にわたって借り上げて転貸してくれます。しかも、空室がでても最低賃料は保証(査定賃料下限の85%が目安)。また、3年ごとに契約が終了する定期借家契約を活用するため、賃借人が居座ったり、立ち退き料を請求されたりすることもない。契約終了時に、自分がマイホームに戻ることもできます。

住宅コンサルタント 平賀功一
1967年生まれ。「e住まい探しドッコム」主宰の傍ら、「All About」不動産ガイドを。最新刊に『新版 マンションはこうして選びなさい』(共著)。
(構成=大塚常好)
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