小宮コンサルタンツ代表取締役 小宮一慶氏が解説

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リーダーになれるのは、「教える」より「伝える」ことができる人

経営者にとって一番大事なことは、困難な状況に直面したら、先頭に立って問題を解決することだ。それくらいの熱意がなければ人もついてこない。海軍兵学校では「指揮官先頭」という言葉で教えられていた。

頭のいい経営者は、自らの豊富な知識や経験を人に教える「ティーチャー」になりがちだ。だがそれは、信念や熱意、社会的な責任や働きがいを伝える「リーダー」とは異なる。

松下幸之助氏は、景気が悪くなって業績が落ち込んだとき、自ら営業本部長を兼務して現場の先頭に立った。ヤフーBBのプロジェクト立ち上げや、NTTへの強行突破に見られる孫さんの行動は、松下幸之助氏同様に「リーダー」たりうる人であることを証明している。ここが優れている点であり、その素質は生来のものだろう。

小宮一慶氏

会社が大きくなれば、理屈を教える役割は誰かが担ってくれる。極論をいえばお金で買える。しかし熱意や信念はお金では買えない。そして、それがなければ経営は成功しない。

●正解【A】――不公平なルールを守るより、正義を守るべし

※本記事は2010年9月29日に開催された「ソフトバンクアカデミア」での孫正義氏の特別講演をもとに構成されております。設問文等で一部補筆・改変したものがあります。

(大塚常好、小澤啓司、原 英次郎、宮内 健、村上 敬=構成 小倉和徳=撮影 共同通信=写真)
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