覚えておきたい遺伝子用語
ゲノム
ある生物のすべての遺伝情報のこと。ゲノムは細胞の一つ一つに含まれており、約31億塩基対からできている。
遺伝子
ゲノムのうち、タンパク質を作るために使われる部分の遺伝情報のこと。ヒトの場合、ゲノムの約2%程度で、平均で数千塩基対からなる遺伝子が約23000個あると考えられている。
DNA
遺伝情報が書き込まれている物質のこと。塩基、五炭糖、リン酸というパーツから成り立っている。
塩基
DNAを構成する物質の一つ。アデニン、チミン、グアニン、シトシンの4種類があり、それぞれの頭文字をとってA、T、G、Cと表記することが多く、AとT、CとGが対になってつながっている。
SNP(スニップ)
遺伝子を構成する塩基のうち、個人差が1%以上の頻度で見つかる塩基のこと。「一塩基多型」とも呼ばれる。
スニップの違いが個人の外見や体質の違いとして表れるため、遺伝子解析においてはもっとも重要な部分で、ヒトでは約300万個所(ゲノム全体の0.1%)あると考えられている。ゲノム解析サービスでは、数万から数十万個所のスニップの違いを網羅的に調べる。サービスの結果画面では「AG」などと表記するが、これは父親と母親からゲノムを半分ずつ受け継いでいるからである。
シークエンサー
DNAの塩基配列を調べるために使用する機器の名称。マイクロアレイが特定のスニップである塩基1個をピンポイントで調べるのに対して、シークエンサーは塩基の配列を順番に調べる。近年シークエンサーの性能の向上は著しく、最新のものは1人当たり約10万円、2時間で全ゲノムを解析できる。
マイクロアレイ
一度に大量のスニップを解析するための分析機器。多数のDNA断片がプラスチックやガラスの上に敷き詰められていて、そこに解析したいDNAを流すと、DNA同士が特定の組み合わせとなった場合のみ蛍光を発する。蛍光の種類を特殊なスキャナーで検出することで、スニップのタイプがわかる。
GWASカタログ
米国立衛生研究所が開設しているウェブサイト。学術論文で報告されているスニップや、関連する疾患名などをまとめた公開データベースで、遺伝子ビジネスの基礎となる。
単因子性遺伝子疾患
一つの遺伝子が変異していることによっておきる病気。遺伝性のがんのほかにも、一部のアルツハイマー病などの原因になっている。遺伝子解析が診断に直接結びつくため、医療行為にあたり、ゲノム解析サービスでは扱えない。
BRCA1
乳がんに関与する遺伝子。通常、女性の乳がんの発症率は一生で数%から10%だが、この遺伝子に変異があると87%にもなる(白人女性の場合)。昨年、アンジェリーナ・ジョリーがこの遺伝子の変異を理由に、乳腺を予防的に切除したことが話題となった。日本でBRCA1の遺伝子解析は医療機関で受けられるが、特許の関係で20~30万円かかる。事前にカウンセリングを受け、親族に家族性乳がんの患者がいるか判断してから検査を受けることが多い。
DTC
医療機関を介さない、消費者直接型(Direct to Consumer)サービスという意味。DTC遺伝子解析サービスは、フランス、ドイツ、アメリカの一部の州(12州)などでは禁止されている。