最近は一般にも知られるようになった遺伝子解析サービス。しかし、「検査したら終わり」ではない。今後の医療のあり方を根本から問い直すパラダイムシフトを起こす可能性も秘めているのだ。
※第1回はこちら(http://president.jp/articles/-/13466)
今後必ず起きる「2つの問題」
医師法は、医師以外のものが「医業」を行うことを禁じています。「医業」の要件は「業」と「医行為」の2つ。「業」とは、反復継続の意思を持った行為を指します。ゲノム解析サービスは、業の要件は満たしているといえます。
そして「医行為」とは「医師の技術や知識を持って行わなければ人体に危害または危害を及ぼす恐れのある行為」と解釈されています。注射や手術はもちろんのこと、その後の治療方針を決める「診断」も医行為に当たります。もし、ある遺伝子を調べることで将来ほぼ確実に、あるいは高い確率で病気になることがわかれば、それは「病気である」と判断することと同等と見なし、診断となりえます。一方、「病気になる可能性が平均よりやや高い」という程度のものは、診断とはいえません。
では両者をどこで線引きするか。明確な基準は現在ありません。法律で定義できるほどの議論もない現状では、医師や研究者なども交えて業界のガイドラインを作成するのが現実的でしょう。
ゲノム解析サービスがさらに普及すると、大きく2つの問題が出てくるでしょう。ひとつは「差別」。病気リスクによって保険料を高くするようなことは、法規制する必要があるのかもしれません。さらに「情報管理」。ゲノムは究極の個人情報といわれていますが、既存の個人情報保護法と同列に扱ってもよいかが問題です。研究機関や連携企業にデータを渡すときの取り決めを明確にしたり、事業者への認定制度を導入したりするなど、なんらかの仕組みづくりが必要でしょう。