――再建途上でメーンバンクの旧大和銀行が経営不振に陥った。
【辻】旧大和は厳しい状態になったが、それでも大応援してくれた。手形割引を工事業者に出すとき、割引してくれたのは旧大和だけだった。当社は不動産デベロッパー的な動きをしているから、資金が要る。その資金を出してくれなかったら、もうそこでアウトだ。これまで大衆路線で普通の人が買えるマンションを55万戸以上つくってきた。社会的な存在価値がなかったら、応援してくれなかっただろう。
――新しい中期経営計画では前半3年が自己資本の充実、後半はM&Aを進めるそうだが。
【辻】再建は終わったが、人間で見れば、よちよち歩きの状態で、貯金も何もない。3年間は貯金したい。後半はその貯金を元手にタイミングが合えば、攻めに転じていく。
――今後の展開は。
【辻】今の好環境が、3年続くとは思わない。いずれゼネコンがマンション事業に返ってくる。そうなれば一発で流れは変わる。今後はサービス関連事業を伸ばしていく。分譲マンションには、買い替え、仲介、リフォームの需要があり、今後は介護の必要性も出てくる。お客様の人生全体の住まいに対するサポートができるような会社にしたい。
長谷工コーポレーション代表取締役社長 辻 範明
1952年、岡山県生まれ。75年関西大学法学部卒業、長谷川工務店(現長谷工コーポレーション)入社。98年第一事業部副事業部長、99年取締役、2003年常務、05年専務、10年副社長兼長谷工アネシス社長、14年4月より代表取締役社長。
1952年、岡山県生まれ。75年関西大学法学部卒業、長谷川工務店(現長谷工コーポレーション)入社。98年第一事業部副事業部長、99年取締役、2003年常務、05年専務、10年副社長兼長谷工アネシス社長、14年4月より代表取締役社長。
出身高校:金光学園高校
長く在籍した部門:営業部門
座右の銘:人間万事塞翁が馬
趣味:カメラ、ゴルフ
(國貞文隆=構成 原 貴彦=撮影)