給料に資格給を上乗せする会社も実在

一方、毎月支払われる「資格給」(2)はどうだろうか。

54社中、実は「資格給」について、支給に関する明確な回答があったのは、1社だけでした(このほかに、「資格レベルにより異なる」という電機部品メーカーと、支給はしているけれど「具体的な回答は控えます」とする化成品メーカーがありました)。

つまり、「一時的な資格取得の奨励金は払うけれど、毎月有資格者に支払う資格給はありません」あるいは「資格給については秘密です」ということなのでしょう。たしかに、「資格給」は企業にとっては固定費となります。

さて、「宅建で1万円など」と回答があった1社は新栄不動産ビジネス。ビル管理や不動産取り引きなどを手掛け、売上高は約50億円、従業員は約700人の規模です。
新田隆範社長は言います。

「業務に関係する社員を対象に、例えば宅建で月に1万円を資格給として設定しています。業務に使う資格であることが前提。自己啓発や自己満足で宅建を取得しても、業務に関係なければ資格給はありません」

宅建のほかにも、建築物環境衛生管理者、第3種電気主任技術者、第2種電気主任技術者、第1種電気主任技術者などに対しても、これらの資格を必要とする業務に従事している有資格者に対し月額1万円~1万2000円を会社は支払っています。

ベースアップや定期昇給で月1万円も上がるのは大変なこと。組合費ばかりを取られる組合など頼らずとも、「勉強して自分の力で収入アップを勝ち取れる」(同社幹部)のです。

国内企業は、前出の「奨励金」に対してはTOEICをはじめ多くの資格が対象になっているといえるでしょう。法規制への対応、社員の能力アップ推進だけではなく、社員の自己啓発といった色彩があるためでしょう。
一方、「資格給」に関しては、1社のみの回答でしたが、基本的には社員にその資格がないと業務ができない会社が出す仕組みを整えているようです。

<第4回の結論>
一時的な奨励金は幅広く支給されるケースが多い。これはアンケートした対象が主に大企業だったこともあり、待遇面で充実していることとも関連していると思われる。

では、次回は資格ホルダーであることを採用を担当する人事部がどう考えているのかを探ってアンケート結果から分析していきましょう。

【アンケートにご協力・ご回答いただいた企業(順不同)】丸紅/帝人/大和ハウス工業/三菱東京UFJ銀行/ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン合同会社/ミツバ/三井住友海上火災/キリン/パナソニック/オリックス/双日/富士ゼロックス/三菱重工業/サイバーエージェント/積水ハウス/トヨタ自動車/ブリヂストン/NEC/カルビー/ぐるなび/アサヒグループホールディングス/ユニ・チャーム/ローソン/住友電気工業/新栄不動産ビジネス/三井住友銀行/川崎重工業/キヤノン電子/ニトリホールディングス/クレディセゾン/クラシエホールディングス/ダイキン工業/デンソー/マツダ/サントリーホールディングス/ヤマトホールディングス/京セラ/京王プラザホテル/みずほフィナンシャルグループ/このほか、食品、生保、精密、鉄道、ホテルチェーン、化学、電機、不動産、機械など15社。合計54社。

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