CSR・社会貢献活動は、企業にとって今や本業を支える最も大切な産業基盤のひとつになっている。 トヨタ自動車も数多くの社会貢献に取り組んでいるが、なかでも「トヨタ白川郷自然学校」の開設・運営からは、トヨタが一般社会と向き合う創業以来の姿勢の一端を窺い知ることができる。

※第1回はこちら(http://president.jp/articles/-/13272)

環境教育プログラムのメニューは現地の四季に合わせて多種多彩に用意されている。2013年10月~2014年3月までで絞っても、数えてみると周辺の森と敷地内で曜日を違えて24ものコースがあった。うち、森の動物や虫たちの声を聞きながら初めての白川郷を体験する「ネイチャーガイド」など無料参加できるものが2つ。前述した敷地内に唯一残る合掌造りの旧下山家の夜を楽しむ「囲炉裏DEナイト」など家族割の利くものが10プログラム。「蕎麦でお手軽フレンチを楽しむ休日」など昼食付きのコースが3つ。「茅場を復元する共生プロジェクト」など大人向きのコースが4つ、などなどだ。

インタープリターによるガイドツアー。とにかく森に詳しい。

いずれのプログラムでも、何を尋ねてもスラスラとよどみなく答えてくれるインタープリターが付きっきりで案内してくれる。お客のオーダープログラムも受け入れる。筆者がオーダーした2時間半に及ぶ8月のガイドウォークの途中、綺麗に石垣で囲まれ、さまざまな木々や花で埋もれている場所がふと目に入った。残念ながら当日は出合うことはなかったが、春にはギフチョウが飛んでくるところだという。

ギフチョウは遠い場所に「渡り」をしないチョウだ。同じ所で生まれ育つ。それだけに人の暮らしとの共生が必要不可欠となる。ギフチョウはユリの仲間であるカタクリの花にやってきて蜜を吸う。そのカタクリもまた、里山の環境と強く関係している。里山が大規模に開発されたりするとカタクリは育たない。逆にカタクリが育つところでは他の植物の生育も良くなる。