11月16日投開票の沖縄県知事選挙で、自民党と連立を組む公明党の出方が注目されている。

「7月の滋賀県知事選で自民党は野党に敗北。“敗因は創価学会が本気で選挙を戦わなかったため”というのが自民党内の見方。沖縄でも、公明党は自民党沖縄県連が擁立する現職の仲井真弘多知事と距離を取っているので、仲井真氏は苦戦必至」(自民党選対関係者)

選挙には三選を狙う仲井真氏のほか、元自民党県連幹事長の翁長雄志那覇市長、元自民党代議士の下地幹郎「そうぞう」前代表が出馬表明している。

選挙戦は、保守系三氏による分裂選挙の様相。自民党本部の事前調査では、翁長氏が仲井真氏をリードしている。

仲井真氏の不人気の原因は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題で仲井真知事が辺野古移設を承認したこと。これに対し、翁長氏は辺野古移設反対を表明し従来の保守層に加え、辺野古移設へのアレルギーが強い創価学会や、野党の民主党支持層にも食い込んでいる。公明党県連の中には、翁長支持を口にする幹部もいるほどで、公明党・創価学会の出方は不透明だ。

公明党の慎重姿勢の背景には「安倍首相との“軋轢”がある」との見方も自民党内にある。自民党関係者が話す。

「7月4日付の日経新聞が、首相が公明党との選挙協力について『なくてもいい』と発言したと報じ、官邸と自民党は大騒ぎ。記事によると、6月初旬、集団的自衛権行使容認問題をめぐり、時間稼ぎをする公明党に業を煮やした首相が創価学会幹部に『次の総選挙は支援しなくてもいい』と通告。学会の支援なしで選挙を戦えるのかと聞かれた首相は『構わない』と譲らなかったという。

滋賀県知事選挙の最中のこの報道に首相は激怒。官邸は“事実無根”と日経に抗議したが日経側は“公明党幹部から聞いた”と突っぱねた。やむなく官邸は妥協策を提案。7月7日に訪問先の豪州で日経の単独取材を受ける形で“自公関係は強固な連立”と述べて公明党・創価学会にエールを送った」

安倍氏は、池田大作名誉会長の次男と高校時代の同期生だったが、学会・公明党との距離の取り方には、ずっと四苦八苦しているようだ。