元“金”均等返済の世帯は教育資金ショート
では、【図表1】で比較した条件で、元“金”均等返済を選んだ人の当初87920円の返済額が、元利均等返済の毎月返済額73042円まで少なくなるには、どれくらい時間がかかるのだろうか?
【図表3】に示したとおり、元“金”均等返済の毎月返済額が元利均等返済の返済額に近くなるのは、189回後、つまり約16年後だ。
仮に不動産を購入した年齢が30歳だとすると、46歳。子どもがいれば中学・高校・大学の受験の頃かもしれない。
ご家庭によっては、子どもの教育資金が必要な頃に重なる人もいるだろうが、この減り具合の事実をお伝えすると、「(毎月の返済額が)半分ぐらいになると思っていたのに……(今回の試算の場合、約4万円)」と落胆するご相談者も少なくない。実際は、当初の返済額より1.5万円ほどしか少なくなっていないのだから過度な期待は禁物だ。
「子どもの教育費が必要なときには住宅ローンを少なくしたい」と言う人は、「教育費の負担が大きくなるとき(主に40代に入ってから)の毎月返済額はいくらなのか」ということを、金融機関によく確認してから検討するべき。
安定した収入が期待できるような場合や共働き家計の場合は、「オトクと聞いた元金均等返済」で借りるだけではなく、「期間を短くした元利均等返済」も金融機関にシミュレーションしてもらうのだ。
そして、住宅ローンは長期間に渡って返済するものだからこそ、ゆとりができたときには繰り上げ返済を行い、当初、金融機関と決めた返済計画をリスケして、総返済額を少なくしたい。
【図表1】のケースで、元利均等返済の人が元金均等返済の返済額を支払ったつもりで、その差額を貯めると39回(3年3ヵ月)後には約50万円の貯蓄ができる。その50万円で早くローンを返し終わることができる期間短縮型の繰り上げ返済をすると、返済期間が1年短くなり、利息は約37万円浮かせることができるのだ(元金均等返済の人が同様に39回後に約50万円の繰り上げ返済を行うと、返済期間を9カ月短くすることができ、利息は約27万円浮かせることができる)。
効果が高い繰り上げ返済だからこそ、住宅ローンを借りた後も貯蓄意識を持ってオトクな返済方法を探って頂きたいものだ。
住宅ローンの返済予定シミュレーションは借り入れを希望する金融機関に聞いても教えてくれるだろうし、無料試算サイトなどもある。
住宅ローンはあくまでも借金なのだから、何パターンもシミュレーションをしたうえで、自分のライフプランに合うローンを慎重に選びたい。