「元“金”均等返済のほうがオトク」は本当か
「住宅ローンの返済方法には、元利均等返済と元“金”均等返済の2つがあり、元“金”均等返済のほうがオトク!」という話を聞いたことがあるかもしれない。
しかし、現実の世界ではそれが正しいとは限らない。
元利均等返済は、住宅ローンの毎月の元金と利息を足した毎月の返済額が一定額のもの。
元“金”均等返済は、毎月返済額の元金は一定金額だが借入当初の利息の金額が多く、返済期間が進むにつれて毎月の返済額が減っていくもの。
論より証拠、順を追ってシミュレーションで検証してみよう。
全期間固定金利のフラット35の利用者平均額である約2300万円を借り入れ、35年返済、1.73%(2014年7月現在最多金利)で比較してみた。
結果は元“金”均等返済のほうが安くなり、よく言われる通りの結果になった。返済総額は元利均等返済が3068万円、元“金”均等返済が2998万円で、元“金”均等返済が70万円少なくてすむ。
ポイントは、毎月返済額は初回が元利均等返済の場合約7.3万円、元“金”均等返済が約8.8万円となっているものの、最終返済月は元利均等返済が約7.3万円と同額だが、元“金”均等返済は年々返済額が減っていくため最終的には約5.5万円となっていること。先に多めに払う「元“金”均等返済がオトク」ということは正しそうだ。
ただ、金融機関は住宅ローンを組む人に、元利均等返済を提案することが多い。
それは、借り入れる人が借入能力の上限額まで申請することが多く、そのとき、金融機関が設けている「年収○○円の人の年間返済額は年収の○%まで」という基準を、当初返済額が高い元“金”均等返済では借り入れの審査が通らないことが多いためだ。その結果、毎月返済額が少ない元利均等返済に落ち着くのだろう。