●解答と解説
Q1. 思い付きで「ございます」をつけない
【△】この話を聞いたことがございますか?
【△】この話をお聞きになったことがございますか?
(間違いではないがこなれていない感じ。相手が主語なのでございますはなじまない)
【◎】この話をお聞きになったことがありますか?(一番なじんだ表現)
【○】この話をお聞きになったことがおありですか?(ここまでかしこまらなくてもよい)
Q2. Q3. 敬語だからといって長ったらしくなるわけではない
【×】存じあげていらっしゃると存じますが、
【◎】ご存じだと思いますが、
【×】明日はご自宅におられますか?
【◎】明日はご在宅ですか?
【○】明日はご自宅にいらっしゃいますか(おいでになりますか)?
Q4. Q5. Q6. Q7. 過剰な「させていただく」はいただけない
【×】このたびは、突然ご連絡させていただきまして、
【◎】このたびは、突然ご連絡いたしまして、
【×】精密機械のほうの仕事をさせていただいております。
【◎】精密機械関係の仕事をしております。
【×】この度、新製品を発売させていただきます。
【◎】この度、新製品を発売いたします。
【×】この春の新製品をご紹介させていただきます。
【◎】この春の新製品をご紹介いたします。
(本来、「させていただく」は相手の許可を得て行動する表現)
Q8. 定着し始めた「ご○○される」の形
【△】「ご利用される」「ご旅行される」「ご卒業される」
(規範的には正しくないが、かなり定着している形)
【◎】利用なさる、旅行なさる、卒業なさる(本来はこちらのほうが正しい使い方)
Q9. 敬語は賢く省略してスッキリさせよう。
【×】この度は、弊社との新規契約をご承諾いただきまして、誠にありがとうございます。貴社の御芳情にお応えさせていただくべく、大いに努力させていただく所存でございます。なにとぞ末永いお引き立てを賜りくださりますよう、せつにお願い申し上げます。(ベタベタで厚化粧すぎて気持ちが悪い)
【◎】この度は、弊社との新規契約をご承諾いただき、誠にありがとうございます。貴社の御芳情にお応えすべく、大いに努力いたします。なにとぞ末永いお引き立てを賜りますよう、お願い申し上げます。(省略できる敬語は省略し、文をスッキリさせる)
滝浦真人
1962年生まれ。著書に『日本の敬語論』など。作法のコミュニケーションの経緯とその先を論じる『日本語は親しさを伝えられるか』(岩波書店)を刊行。