昨年の3倍、25万着がすでに完売
「空調服」という会社をご存じだろうか。その会社が開発したユニークな作業服がいま大ヒットしているのだ。
商品名は社名と同じ「空調服」で、背中の腰の部分に2基のファンがついている。そのファンが体全体に風を送って汗を気化し、その気化熱によって体を冷やす仕組みになっている。風呂上がりの濡れた体に扇風機が心地よいのと同じ原理なのだ。
試しにその空調服を着てみると、確かに涼しい。というよりも少し寒いくらいに感じるほど。汗をかいていると、とりわけ涼しいそうだ。しかも、体が汗臭くならない。汗臭くなるのは、衣服に汗がついて雑菌が繁殖するためで、汗をすべて気化させてしまえば、臭いは全くしなくなるわけだ。
そのため、建設現場などで作業している人の間で人気を呼び、次々に注文が舞い込んでいるという。「今年は昨年の3倍超、25万着を生産しますが、予約分を含めてほぼ完売の状態です。代理店で取り合いになっていて、余り注文をしないでほしいと言っているところです」と市ヶ谷弘司社長はうれしい悲鳴を上げる。
その社長室には、ソニー創業者の井深大氏とのツーショット写真が飾られている。実は市ヶ谷社長は元ソニーの開発者で、大学も井深氏と同じ早稲田大学理工学部。しかし、1970年のソニー入社後しばらくの間は井深氏とほとんどコンタクトがなかったという。それが社内の発明大会で大きく変わった。