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製造業屈指の売り上げ・営業利益をたたきだす

【田原】ロボットの分野にも進出していると聞いたのですが。

【御手洗】ロボットの目、要するにセンサーをつくっています。キヤノンは自社の生産のためにロボット本体を内製していますが、それを外販することはセンサーの提供先である企業と競合するのでいまのところは予定していません。でも、目ならロボット会社も買ってくれるじゃないですか。

【田原】目ということは、やっぱりカメラにこだわっているのですね。手当たりしだいにやっているわけじゃない。それともう一つ、グローバル戦略についても教えてください。

【御手洗】いま、世界の経済社会は大きく変化しています。極端に言えば世界中が先進国を目指し、競争がますます激しくなってきています。電話がいい例です。フィンランドのノキアが携帯電話を世の中に出し、あっという間に固定電話の利用が少なくなりました。そのノキアもカナダから出てきたブラックベリーに押されたかと思うと、いまやアメリカからアップル、韓国からサムスンが出てきてスマートフォン市場を二分している。こういう時代になると、一カ所でものを生み出して、世界中にばらまくやり方では間に合いません。そこでいま私が考えているのは、三極体制による経営です。

【田原】三極体制というと?

【御手洗】本社を東京とアメリカ、ヨーロッパにつくります。メーカーの本社とは、研究、開発、生産、販売の機能を持ったものを指します。アメリカやヨーロッパでは、東京では開発していない技術を核に、新しい製品を展開していく。そうした体制で、経営スピードを上げて世界の市場をカバーしていきたいのです。

【田原】全体の戦略はどうするのですか。

【御手洗】総合戦略として、ホールディングカンパニーがあればいいわけです。いまなら私がホールディングのトップをやるでしょうが、将来は外国人でもいいと思います。