結局、この論争に終止符を打ったのはレアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長だ。「一見、最高額に見える取引は、実は最安値なのだ」。一体どういう意味なのか?
レアル・マドリードでGMを務めていたホルヘ・バルダーノが語った。
「クリスティアーノは信じられないほど素晴らしい選手だ。我々があれだけの額を支払ったのは、彼にそれだけの価値があるからだ。そして、すぐに利子付きであの投資は戻ってくる。一クラブの投資のなかでこれほど効率がよいものはほかにない。クリスティアーノ・ロナウドを迎え入れることにより、全世界の市場が我々にやってくる。そしてこのような危機の時代において、ほかでは考えられない経済的可能性が保証されているのだ」
この説明にクラブの全員が同意した。ロナウドにいくらつぎ込もうと、ベルナベウは彼のおかげで満員御礼となり、夏のツアーは満席で、テレビ放映権もグッズも売れ、スポンサーもさらに増える。
では、渦中の本人はこの事態をどうとらえているのか? 「いろいろな人が話題にしているようだけど、フットボール史上最高額の選手に自分がなれたというのは単純に誇らしいよ」
あれから5年、非公式の情報では時代はまた変わったようだ。トットナム・ホットスパーのスター、ガレス・ベイルの移籍で2013年夏にレアルは移籍金9100万ユーロを支払ったという。だが、トットナムに近い筋によると実際に一括で支払われたのは8540万ポンド、つまり1億ユーロ以上だ。もちろん新記録である。もっとも、双方の機密保持契約により、正確な金額はどちらのクラブからも公表はされていない。
※本連載は書籍『Who is the Best? メッシ、ロナウド、ネイマール。最高は誰だ?』(ルーカ・カイオーリ 著)からの抜粋です。