アベノミクスの“第三の矢”に組み込まれたクラウドファンディング。小口の資金を大勢の人から集める新しい資金調達のツールを使って成功する企業も現れ始めた。しかし、手放しで喜べない側面もある。

クラウドファンディングに対する注目度合いが高まっている。きっかけは、昨年6月に「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」に続くアベノミクス“第三の矢”として「日本再興戦略」が閣議決定され、「クラウドファンディングなどを通じた資金調達の枠組みについて検討する」ことが盛り込まれたこと。

これを受けて金融庁・金融審議会のワーキンググループは、「投資型クラウドファンディング」を取り扱う仲介業者に関する参入要件を緩和して、その利用促進を図る内容の報告書を昨年末に策定。それに基づいた金融商品取引法の改正案が、現在、通常国会で審議されている。

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図1 5種類に分かれるクラウドファンディング

投資型クラウドファンディングという新しい言葉が出てきたが、クラウドファンディングには5つのタイプがある(図1参照)。その一つが先ほどの「購入型」で、提供した資金の対価としてモノやサービスなどを引き渡すので、一種の“商取引”といえる。「寄付型」はあるプロジェクトに対して見返りなしに寄付金を差し出すもので、世界最大の英国「ジャスト・ギビング」は01年に誕生している。その日本版プラットフォームを一般財団法人ジャスト・ギビング・ジャパンの代表理事として10年3月に立ち上げたのが、JGマーケティングの佐藤大吾社長である。

そして、このほど第三の矢に組み込まれた投資型クラウドだが、「貸付型」「ファンド型」「株式型」に分かれる。貸付型とファンド型は商法で規定された「匿名組合」の契約に基づいて出資を募り、前者は資金の貸付先からの金利が、後者はその資金を元手にした事業からの収益が対価となる。株式型は出資に応じて会社の株式を受け取り、その配当を得る。ただし、どれも元本が保証されていない。だから“投資”であり、金融商品取引法の縛りを受けるのだ。