思考を単純にすれば、英語は話せる
よく、「英語を話すときに頭の中でどんな風に考えているのかを教えてほしい」とのお問い合わせをいただくことがあります。言葉を発するのは瞬時の判断で反射神経のようなものながら、確かに日本語で話しているときと考えの回路が違います。そんなわけで、今回は連載「伝わる技術」の番外編として、英語で話すときの発想法をお伝えさせていただこうと思います。
以前、軽く「英語はまず結論です」とふれたことがあります。英語は「何が・どうした」から始まるため、たとえば「私は<行った・行かなかった>公園に」(I <went / didn’t go> to the park.)と結論が冒頭でわかる仕組み。ところが日本語は、「私は公園に行こうとしたけれど忙しくて行けなかった」と最後まで結論がわからない。それはまるで政治家がお茶を濁して最後まで発言を曖昧にする話し方のように……などとお伝えさせていただきました。
<英語>
私は 行った 公園に 昨日。
私は 行かなかった 公園に 昨日。
<日本語>
私は 昨日 公園に (行きたかったけれど)、行かなかった。
日本語はさらに自由に語順を変えられますが、英語は結論を明確にして、最初に伝えることが大前提。その後も語順に決まりがあります。つまり、この「主語+動詞~」の“型”が英語を話すときの、頭の中の基本プロセスというわけです。逆に、この型に言葉を入れていけばいいと考えると、発想がとても簡単になります。
たとえば、上の日本語は会話の中ではいろんな言い方ができるでしょう。
(1)私は 昨日 公園に 行きました。
昨日 私は 公園に 行きました。
行ったのよ、昨日。私、公園にね。 etc...
この(1)を英語にそのまま置き換えると、(1)I yesterday to the park went. となり、意味が通じません。ほかも同様ですね。日本語に引きずられないで、英語では単純にI wentかI didn’t go と話し始めるだけ。拙著『一週間でどんどん英語が話せるようになる26のルール』(*)で詳しい解説をさせていただいていますが、まずは日本語と英語の構造の違いを知って、「私・何が どうした」と伝えること。これが頭の中の言語変換プロセッサの働かせ方のキホンです。
今度は、言いたい日本語を英語に変えていく発想法をみていきましょう。