老後の備えのため貯金に一生懸命。その心は?
同総研では、LGBT市場の消費傾向も調査しており、そこからは彼らのライフスタイルも浮き彫りになっている。彼らはSNSなどネットでのコミュニケーション率が一般より高いなど情報感度が鋭く、可処分所得も多いゆえ、企業はその対応を誤ると 業績に大きく影響する可能性があるのだが、その事実に気づいている日本企業は多いとは言えない。
消費傾向で、彼らに特徴的な事例をあげよう。
例えば、一般の異性愛者(いわゆるストレート。ノンケとも言う)よりも「家飲み」や「ペット所有率」が高い。
「全体的に、家の中のことにお金をかける傾向があります。例えば、家具やファブリックなどのインテリア、家で飲むためのアルコール飲料や食材、映像、音楽、ゲームソフトなど。アフター5などは外食より家飲みというライフスタイルが多いと思われます。また、旅行に関しては、まだLGBTへの理解が進んでいない国内では、男性同士がホテルにチェックインしづらいといった事情があります。そのためか、同じLGBTでも男性のほうが海外旅行の支出額が高くなっています」(同)
とりわけ、トランスジェンダーのなかでも見た目が男性で心は女性という場合(もしくはその逆の場合)、トイレや入浴シーンなどで何かと不都合が生じる。となると、仲間と気兼ねなく過ごせるのは、やはり家。その家に心地よさを求めて投資するのは当然のことなのだろう。
一方、蓄財観念はどうか。
「LGBTの方は、養子縁組をしない限り子どもがいない可能性が高いので、持ち家や土地を買って子どもに資産を残す必要がない分、自分への投資がしやすいと言えるかもしれません。一方で、老後のための貯蓄意識は高いとも言えるでしょう。残念ながら、日本では(同性による)結婚という形が認められていないので、今のパートナーがずっとそばにいて助け合える保障もないし、老後の面倒を見てくれる子や孫もいない場合は、備えが必要となってきます」(同)
LGBTだからこそ求める商品やサービスがある。次回(5/20公開)は、そこにしっかり早くから目を向け活動している国内外の企業についてレポートしよう。