正しい叱り方とは?
それでは、子供が間違った行動をしたときに叱ってはいけないのか、というとそうではありません。叱り方があります。
「おまえなんか、何をやってもだめだ」「おまえなんか生まれてこなきゃよかった」。こういった全面否定の叱り方は絶対にいけません。体罰や怒鳴りちらすのはもってのほかです。
体罰でねじ伏せられている子は、恐怖心から一時的に我慢したり謝ったりしているだけです。ですから、自分より弱い相手に対してや、大きくなって自分の子供ができてから、同じように恐怖心を与えて相手を支配したり、反社会的行動に出たり、精神疾患を発症したりするようになるのです。
また親が子供の言い分を聞かず、「子供は親の言うことを聞いて当然」とばかりに頭ごなしに叱り続けていると、子供は親に叱られるのが嫌なので、嘘をついたり相手のせいにしたりするようになります。
暴言、暴力、八つ当たりをする大人の中には「自分は甘えないでやってきた」という人がいますが、そういう人はいま、暴力で相手に対して甘えているのです。頭ごなしに叱ってしまう原因は大人側の忍耐力や自制心、子供への信頼の欠如にあると肝に銘じましょう。
叱るときは全面否定ではなく、いけないことはいけないときっぱりと言う。小学生の場合は、できないことばかりを叱るのではなく、大人から見たらできて当たり前と思うような小さなことでも、できていることを褒める。実際に、叱るよりは褒めるほうが、はるかによい習慣が身につくことも行動科学ではっきりと証明されています。
また、思春期に入ると「よくできたね」「頑張ったね」といった褒め言葉は、ばかにされているように受け取る子もいるので、「○○してくれてありがとう」「おかげで助かったよ」という感謝の言葉が有効です。
叱るにしても褒めるにしても、大事なのは親の価値観を伝えるということ。もちろん子供が親と同じ価値観でなければならないということではありませんが、親として「これは人間として許されない」「こういった大人になってほしい」ということを、きちんと子供に伝えていく。親に褒められたことはいつまでも忘れませんし、自分の行動で親が悲しんだときは悪いことをしたと反省します。褒める、叱るというのは、親の価値観を伝えるということなのです。