ギャップを説明する「理由」だが、これも簡潔でなければならない。文章が長くなると感情という要素が入り込み、肝心の事実が見えにくくなってしまうからだ。
森川氏が説明する。
「人は誰しも、言い訳をしたいという気持ちがあるじゃないですか。そして言い訳はだいたい、事実とは少しずれている(笑)。ところが経営者は、いいことも悪いことも、事実を受け止めなくてはなりません。言い訳を読んで、ついそこに共感してしまえば、事実が見えなくなってしまうかもしれない。ですから僕は、メールに長い言い訳が書いてあっても、だいたいは読まないですね」
元外国人エグゼクティブ秘書の能町光香さんも「報告のメールは、用件だけを簡潔に」がモットーだ。
「一生懸命すべての事柄をメールに書き込もうとする人がいますが、それでは時間がかかりすぎますし、多忙な上司に対しても親切とはいえません。詳しく知りたい部分があれば質問してくれるので、それを受けて改めてその部分だけ深く説明すればいいのです。最初から100%を目指す必要はないでしょう」
ただし、能町さんは何がなんでも自分のやり方を押し通せ、といっているわけではない。
「上司のスタイルに合わせることが大切です。簡潔な報告を好む人には簡潔に、なんでもじっくり緻密にやることを好む人には、最初から詳細な報告をしなければいけないと思います。上司の個性に合わせて、相手がいちばん仕事をしやすいように持っていくのです」
アイ・コミュニケーション代表 平野友朗
1974年生まれ。広告代理店勤務を経て独立。ビジネスメールマナー推進協議会会長、メルマガコンサルタント。著書は『ビジネスメールの常識・非常識』ほか。
1974年生まれ。広告代理店勤務を経て独立。ビジネスメールマナー推進協議会会長、メルマガコンサルタント。著書は『ビジネスメールの常識・非常識』ほか。
(小原孝博=撮影)