「職人体験」を希望するビジネスマン
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この旅のお値段は、18時半~22時までの3時間半で1万500円。ネットで申し込みをし、約束の時間に新宿「ぎゃらりーばーからーず。」を訪ねると、女性店主のakiraさんが出迎えてくれた。
簡単な自己紹介と仕事内容の説明、質疑応答タイムを経て、即開店。ここまで、ちょっと動揺するほどスピーディな展開である。「習うより慣れろ」ということなのだろう。簡単なお酒の作り方やゴールデン街のお作法などを聞いていると、19時半頃には最初のお客様がご来店。
「い、いらっしゃいませー!」。
そこから先は、注文を聞き、おつまみを出し、なんなら1杯ご馳走になったりもしながらのバーテンダー体験。ライターという職業が災いし、つい「どちらにお勤めですか?」などと取材態勢で話してしまい、店主からたしなめられる場面も。
仕事の話をしたくないお客様もいるため、「何系のお仕事をされてらっしゃるんですか?」程度にふんわり質問するのが正しいバーテンダーのお作法なのだそうだ。
また、お酒の注文も独特である。ゴールデン街らしく、来店するのは常連さんが多いため、店主は「いつものでいい?」的な聞き方をする。フリーランスで働く筆者は、仕事の相手(=お客様)も一期一会である場合が多いのだが、ここでは一人ひとりのお客様との関係が深くて長いのだ。
店でのお客様の過ごし方もいろいろで、新顔の私にあれこれ話しかけてくれる人もいれば、ポツポツ店主と話す程度で、あとはスマホを見ながら静かに飲んでいる人もいる。
お酒のスピードもさまざまで、店主もことさらに次の1杯を促したりはしない。ゴールデン街のバーは、さながら「自室」の延長のようなのである。
この日は常連さんばかりだったため、筆者の不躾な接客も暖かく見守っていただけたようで何よりだ。後半はお酒も入って軽快に話すことができ、苦手だった出版社への営業トークのスキルも上がったような気がする。また、働くことで仕事の流れが理解できるので、「転職の情報収集に」と利用する人にとっては、かなり貴重な体験になると思う。
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ところで、男性向けの職場体験にはどんなものがあるのだろうか。
「オフィスで働くビジネスマンへのおすすめ体験は、手を動かす職人系の旅。『鍛冶屋になる旅』『眼鏡職人になる旅』『枕職人になる旅』などであれば、自分とはまったく違う仕事観を持つ"職人さん"に会えるので、いい刺激になると思います。また、職人さんから直々に技術講義を受け、自分が作った作品を持ち帰ることができるので、旅のいい記念にもなりますよ」(田中さん)
“大人版のキッザニア”で人生リセットの準備も悪くないかもしれない。