建設コストの3割は作業員の人件費

太陽光発電の継続性に挑む目崎雅昭

太陽光パネルは大型テレビの液晶パネルと同様に、年を追うごとに高性能化、低価格化が進み、総コストに占める割合を徐々に減らしている。その一方でコストがなかなか下がらないものが、太陽光パネルを載せる架台関係だ。なぜかというと、オートメーション化が可能な太陽光パネルと違って、土木工事をともなう架台の設置にはどうしても人手が必要となるから。それでなくても震災の復興需要などにより作業員は人手不足の状態で、彼らの日当を下げるのは容易ではない。

メガソーラーの建設コストの分類の仕方はいくつもあり、「施工」だけ切り出すと全体の3割ほどを占め、その大半が人件費で構成されている。ことほどさように人件費のウエートが大きいわけだ。その削減を図ろうとするのなら、まず有効な対策として浮かんでくるのは、「人件費=日当×工期×人数」のなかの「工期の削減・短縮」である。

しかし、ゼネコンや大手電機メーカーの関連EPC業者などに依頼をすると、まずコンクリート基礎をひき、それからその上に架台を設置するというのが通常の手順となる。しかし、目崎は「そんなことをしていたら2メガワット規模だと完成までに3~4カ月は優にかかってしまう。初めから工期の短縮など頭にないのだろう」と手厳しく批判する。

工期短縮の取り組みを始めている事業者もあり、ウエストエネルギーソリューションが中国の大手架台メーカーであるパワーウェイと組んで導入しているのが「ウエストパワースクリュー」だ。スクリュー型の杭を地面にねじ込むように打っていくことで、コンクリート基礎が不要になり、コストも従来工法の3分の1で済む。前出のアドバンスでも同じようなスパイラル杭を活用してコストダウンに努めている。

その一方で目崎が注目したのが、ドイツの架台メーカーで世界シェアトップのシュレッターの製品だ。安定した地盤ならコンクリート基礎が不要で、やはり、杭打ち方式で架台を設置していく。他社の製品との大きな違いは、架台を構成する支柱がバラバラになって現場に納められるのではなく、あらかじめ“モジュール化”されていること。緩めにボルトで固定されていて、据え付けた後はそのボルトを締めつけていくだけなので、作業効率が極めて高い。

「架台の設置を自分でやって初めてわかるのは、その労力の大きさ。ボルトやナットが箱に入って届けば、まず必要な本数を数える作業から始まる。作業をしているうちにボルトをなくすことだってある。それをまた取りにいってということを繰り返していたら、工期の削減など到底おぼつかない。シュレッターのやり方だと、杭打ちから架台の組み上げまで、2メガワット規模なら2週間もあれば十分にできる」と目崎は語る。