にわか業者は知らぬパワコンの重要性
実は、にわか発電事業者が気づいていない、安定した発電収入を得るための重要な設備がある。それは、メガソーラーで発電した直流の電気を、売電のため電力会社の送電線網に流す前に交流へ変換するパワーコンディショナーだ。
日射量の多い土地を確保し、変換効率の高い太陽光パネルを設置しても、パワコンという最後の送り出しのところで効率に数%の差が生じただけで、収支に大きな影響が出てくる。「1メガワット当たり年間4000万円の売電収入があったとして、変換効率が4%違うと160万円の差が生じる。これが20年間続くと3200万円。大規模になるほどパワコンの重要性は高まる」と目崎は指摘する。
大半の発電業者はEPC業者に丸投げ状態で、当然このパワコンの重要性にまで目がいっていない。その結果、EPC業者のいいなりとなって“安かろう、悪かろう”のパワコンを設置され、当初想定していた売電収入を得られなかったという事態になるリスクを抱え込む。
そして、目崎と立命館大大学院客員教授の村沢義久が口を揃えてイチオシにあげるパワコンメーカーがドイツのSMAである。製品の特徴について同社の日本法人エス・エム・エイ・ジャパン社長の川久保雄司は、「高効率であるのと同時に単体で高い耐環境性を備え、厳しい条件下でも安定した性能を維持できることだ」と説明する。
パワコンはインバーター(電子回路)の一種で、数多くの半導体が使われており、精密機器といってもいい設備。野立てのメガソーラーの場合、そのパワコンを文字通り“野ざらし”にするわけで、通常のパワコンは筐体に入れて保護する必要がある。当然、その建設コストがかかってくる。しかし、SMAのパワコンは電子回路の部分が完全密閉されており、その必要がない。