13年3月21日に国土交通省が発表した13年1月1日時点の公示地価は全国平均で前年比1.8%の下落で、5年連続の前年割れとなった。しかし、下落率は前年の2.6%から縮小し、なかでも東京、大阪、名古屋の三大都市圏の下落幅は0.6%にとどまり、底入れの兆しが見え始めている。

住宅購入の際に消費税の対象となるのは建物だけで、土地は対象外だ。14年3月までの物件引き渡しなら5%の消費税率で済む。だが、ファイナンシャル・プランナーの畠中雅子さんは「消費税が8%に上がってからのほうが、住宅ローン控除の見直しによる節税メリットが出てくるケースもあるのです」という。

「年収1000万円の人が6000万円の一般住宅を購入するのに頭金1000万円を入れ、残りの5000万円について35年返済、2%の固定金利で住宅ローンを組んだとします。消費税が5%のときの住宅ローン控除額は10年間で297万5000円です。一方、8%にアップしてからの控除額は441万7250円となって、144万2250円も増えます。建物の価格が2000万円だとすると、消費税が60万円増えますが、それでも84万2250円の節税メリットが発生するわけです」

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図6 消費税が8%のときのほうが節税メリットが出る住宅ローン控除

畠中さんが計算して出してくれた表が図6。13年の税制改正で、14年4月から17年12月までに入居した人を対象に所得税の控除額の上限が現在の年20万円から40万円へ、また住民税からの還付の上限も年9万7500円から13万6500円へ引き上げられる影響が大きい。ただし、所得税額の納税額が少なかったり、住宅ローンの額が小さいなど、住宅ローン控除の枠をフルに活かせない人の場合、逆転しないことがある。

住宅の購入に当たって大半の人は住宅ローンを組む。その際に気になるのが金利であり、アベノミクスの進展で物価や金利の上昇が見込まれている。

「そうなると変動金利よりも固定金利のほうが有利では」と考えるのが人情。実際に金融機関の窓口へ借り換えの相談に訪れる人が増えているそうだ。しかし、畠中さんは「固定金利の場合は変動金利と比べて元金がなかなか減りません。住宅ローン返済のポイントは少しでも早く元本を減らすこと。それを考えると固定金利がいいとはいい切れないのです」と話す。