震災地にきて!力が湧いてきます
大学4年のとき、人生の35カ年計画を立てました。卒業後は商社に入り、6年目に起業。ほぼ計画通りです。20代、30代は59歳のゴールイメージに近づくため、全力で働きました。はたからは野心家に見えたかもしれません。でも、常に違和感がありました。誤差はあるものの計画通りに進んでいるのに、ちぐはぐな気がしていました。
変わったきっかけは東日本大震災です。身近な人たちが亡くなり、短期間のうちに何度も火葬場に行く経験をし、あれこれ頭で考えることが無意味に思えたのかもしれません。
「いつまでに何をどうするか」と目標やタスクを設定するよりも、体の内側から湧いてくるエネルギーに従って行動するようになりました。そして、何も考えずに40代を震災地での活動に捧げる、と決めたのです。
震災直後、仙台の母と妹の安否を確認した後、すぐ炊き出しや支援活動に入りました。5月には小中学校の生徒向けに農林漁業体験やIT教室を実施する団体を設立。のべ3000人の生徒が参加しています。
震災地では産業創出も必要です。1コース1万円で石巻市雄勝町の海産物を届ける会社をつくりました。漁業体験ができる「雄勝そだての住人」イベントも実施しています。私もできる限り漁師と時間をともにしており、深夜1時から一緒に海で働くこともあります。
東京から石巻まで片道500キロ、6時間の道のりですが、身近に希望する人がいれば私のワンボックスカーで連れていきます。現在までに300往復以上、連れていったのはのべ1300人を超えました。我ながらありえない行動です。はたから見ればきつそうに見える生活ですが、体を壊したことはまだありません。