「ヤフー『10倍挑戦、5倍失敗、2倍成功』でスマホ市場を攻略せよ」
http://president.jp/articles/-/12014
――新体制になって1年半の手応えは。
【宮坂】社員の努力のおかげで業績は「2ケタ成長」に戻った。チームの単位を小さくし、現場への権限委譲を進めたことで、意思決定が速くなった。このためサービスや業務プロセスがスムーズに改善できるようになり、マネタイズの効率が上がった。2年前は、「スマホ向けのサービスはどうやればつくれるか」という議論をしていた。いまは「どんなアプリならランキングの1位を取れるか」という話ができるようになった。
――2013年度の目標だった「!」なサービスは出ていない。
【宮坂】もっとたくさんの挑戦が必要だ。14年は「10倍」を一つの目標にしている。2割、3割という改善はありふれている。
「!」なサービスとは、何かしらの点で、10倍以上の大きな変化を生み出すものだ。10倍速い、10倍安い、10倍多い、10倍大きい、10倍簡単、10倍使いやすい……。
サービスのつくり方には、「0」から「1」をつくる天才的なひらめきによる発明と、「1」を「10」にする秀才的な努力によるイノベーションの2種類がある。前者は難しいかもしれないが、後者は努力次第で可能だと思う。
――井上雅博前社長は天才型と言われていた。宮坂社長の経営スタイルとは。
【宮坂】自分一人の力では足りないので、チームで動くことが大事だ。井上さんは創業社長としてヤフーの全事業に携わった経験を持ち、あらゆる領域で自分の中に答えを持っていた。私は全事業に携わった経験はない。そこはチームの力で補わなければいけない。
また、これまでは思い切って飛べるジャンプ力が必要な局面だった。いまの経営陣は、何も考えずにスマホへと突き進めるメンバーだ。この状況ではベストだが、事業が落ち着いてくれば、また違ったタイプが必要になるかもしれない。自分を含めて適材適所でやっていく。
――「EC革命」の会見にはソフトバンクの孫社長が登壇した。ヤフーの会長としても孫さんの存在感が高まっている。孫さんから学んだことは。
【宮坂】たくさんあるが、一番は執念、執着心だ。絶対によくしたいとか絶対によくなるという底抜けの楽観論。普通の人からみると無理じゃないかと思うようなことでも、頑張れば絶対にできると彼は信じている。
孫さんは「勝ち易きに勝つ」という孫子の言葉を好んで使う。問題を直視し、危機感を持つことは重要だが、それだけでは気持ちが暗くなる。だから「俺たちは強い」と信じてやることが大事だと思っている。