――「201X年までに営業利益2倍」という目標の先に何を目指すのか。
【宮坂】「ITで世の中のすべての課題を解決する」が究極のミッション。達成できれば企業は解散するしかないが、そのときは永遠に来ないだろう。「営業利益2倍」とは経営におけるラップタイム。それぐらいの利益水準を保ちたい。そして「課題解決」とは北極星のようなものだ。永遠に到達はできないが、しっかりした方向感を持っていたい。
――解決すべき「課題」をどう定義しているか。
【宮坂】不便、不安、不満。そんな「不」のつく課題を解決したい。ヤフーにはユーザーと取引先という2種類の顧客がいる。取引先の課題は集客、販売。ユーザーの課題は情報不足。それらをインターネットを使って解決していく。
私はネットの可能性を信じている。ネットで発信する人を増やし、ネットの価値を高めることで、より多くの課題が解決するはずだ。「EC革命」の背景にも、ネットで物を売る人が増えることで、ネットの価値を高めたいという考えがある。たしかにネットには陰の部分もあるが、業界上位の会社として、そうした部分には正面から責任を持って向き合うつもりだ。あくまでもヤフーはネットを前進させるポジションにいたい。
――『ワンピース』のような仲間と一緒に仕事を楽しんでいるように見える。
社員から「働きやすくなった」と言われたり、ヤフーのユーザーが増えたりすると、本当にうれしい。楽しいと思うことは多いが、正直に言えばたいへんだと思うことも多い。社長は答えがないものに答えないといけない。
『ワンピース』のようなチームはいいチームで、これからのチームはこうあるべきだろう。仲間の力を高めるためにも、「才能と情熱を解き放つ」ことが、重要になっていると思う。
ヤフー社長 CEO 宮坂学
1967年、山口県生まれ。91年同志社大学経済学部卒業。出版社勤務を経て、97年6月ヤフー入社。2002年メディア事業部長、09年執行役員コンシューマ事業統括本部長。12年4月よりヤフー最高経営責任者、6月より代表取締役社長。13年6月より親会社であるソフトバンク取締役も務める。
1967年、山口県生まれ。91年同志社大学経済学部卒業。出版社勤務を経て、97年6月ヤフー入社。2002年メディア事業部長、09年執行役員コンシューマ事業統括本部長。12年4月よりヤフー最高経営責任者、6月より代表取締役社長。13年6月より親会社であるソフトバンク取締役も務める。
(遠藤素子=撮影)