柳井流「数字分析」の神髄をここに明かそう
「過去の数字とその数字を出したときの経営状況を記憶に刻みつけてきた」と言う柳井社長。数字の傾向に何かの異常が生じれば、記憶を紐解き、比較し、どこで何が起こっているのかを確認し、対策を考え、実行する。
柳井「どんな数字でも、すべて意味を持っているんです。数字を見続け、読み解くことはひどく退屈な作業であるのですが、経営者として絶対にやらなければいけないことだと思います。ところが、その作業を怠っている経営者が実に多い。数字を見るのは経理や財務、あるいは経営企画室のようなスタッフ部門で、社長は報告を聞くだけでよいと思っている。これは危険な考え方です。経営者が数字の意味を理解していないと、間違った情報で判断してしまうことになります。
リーダーになると、面倒な仕事はしなくていいと勘違いする人がいます。でもそれは間違いです。重要な数字チェックこそ経営者が自らすべきです。そして数字の背後にある意味をあぶり出す。『プロフェッショナルマネジャー』でジェニーン氏が言っているように、誰かを介した話には必ず偏見が入っているものです。それぞれの立場でモノを言うから、その人に都合よく脚色されてしまうのです。経営の数字も同じです。だからこそリーダーは自ら、その数字を直接確認することが重要です。数字が正確かどうか、周辺も含め何人もの話を聞き、感触を確め、真実を掴まなくてはなりません」