警察庁は外国のスパイ活動に対する情報収集能力の強化を狙い、2027年4月に「外事情報局」を新設するとしている。軍事ジャーナリストの宮田敦司氏は「外事情報局新設は、日本の情報収集能力を強くする一歩となる。ただし、警察だけを強くしても外国による情報活動の全体像を把握することは難しい。他組織も底上げを図るべきだ」という――。
日本の先端技術、研究成果も狙われている
警察庁は2027年4月の組織改編で「外事情報局」を新設する方針を示している。外国のスパイ活動や国際テロに関する情報を収集・分析する機能を強化すべく、既存の警備局外事情報部を格上げする形だ。現在は外事課と国際テロリズム対策課で構成される組織を、ロシア担当の1課、中国担当の2課、北朝鮮担当の3課へと再編する予定だという。
このニュースを聞いても「自分の生活とは関係がない」と感じる人は多いかもしれない。「国家機密に関する仕事をしているわけでもないし」と。だが、外国が狙う情報は、政府や自衛隊の機密だけとは限らないのだ。企業が持つ先端技術、大学の研究成果のほか、電力や通信など社会を支えるインフラ全般も対象になり得る。
外国勢力から日本を守る最初の一手
例えば、日本企業が長年かけて開発した製造技術が国外へ流出すれば、その企業の競争力が低下し、事業や雇用に影響する可能性がある。電力や通信に関する情報がサイバー攻撃に利用されれば、仕事や買い物、病院への受診、家族との連絡にも影響が及ぶ。
日本はしばしば「スパイ天国」と呼ばれてきた。この言葉がどこまで実態を表しているかを正確に測ることは難しい。しかし外国勢力による情報窃取を早い段階で察知し、被害を防ぐ体制を強化する必要があることは確かだろう。
今回の外事情報局の新設はその一手となる。ただ、それだけでは足りない。諜報活動への対応を担う組織はほかにも存在する。国家情報局が創設された今、その他の組織の持つ力も底上げを図るべきだ。

