アステラス製薬に「社長室」「役員室」はない
【岡村】継続という意味では、国立大学病院の経営が厳しい、大半が赤字であると報道されています。その中でも、とりだい病院は黒字を続けており、昨年度は大学病院の中で全国1位の経営成績でした(※)。
【武中】とりだい病院は新病院建設に向かっています。つまり未来のために借金をしなければならない状態です。そのため現在の経営状態を良くする必要があります。1年だけ1位をとったことに大きな意味はありませんが、頑張って結果が出たことは嬉しく思っています。
【岡村】自分たちがやってきたことが間違っていなかったと士気が上がりますよね。
【武中】ところで、ぼくが興味を持ったのは、岡村さんが2025年度から社長室を廃止されたことです。もともとは広い社長室があったのですか?
【岡村】(手を広げて)執務机に加えて、大きな本棚、打ち合わせ用テーブル……無用に広い社長室でした(笑い)。もともと、アステラス製薬は17階建てのビルの4階から17階を借りていました。17階は社長室、会長室、役員室、応接室、そしてディシジョンルームと呼ばれる会議用の大部屋がありました。
【武中】ディシジョンルームでは全世界の担当者とリモート会議をしていたんでしょうか。ぼくたちが想像するグローバル企業の本社ですね(笑い)
【岡村】新型コロナウイルス感染症への対策として、リモートワークが大きく広がりました。パンデミック収束後、社員を一律にオフィスへ戻す会社もありましたが、私たちはそれが必要と考えませんでした。
むしろ、実際の利用状況を踏まえ、本社オフィスのフロアを見直す方向に舵を切りました。直近の変更では、まず私自身の部屋を見直すことから始めました。
12階の約半分が役員用のエリア
【武中】先ず隗より始めよ。
【岡村】経営陣が一人ひとり部屋を持つ必要はない。そもそもぼくはペーパーレスなのでキャビネットもいらない。机は共有で十分。今は4階から12階までになりました。
【武中】現在、岡村さんはどこで仕事をされているのですか?
【岡村】12階の約半分が役員用のエリア、残りは全社員が出入りできるオープンエリアになっています。役員用エリアはフリーアドレスでどこに座ってもいい。私はいつもオープンエリア近くのスタンディングデスクで仕事をしています。
【武中】オープンエリアは社員および関係者ならば誰でも使うことができるんですか?
【岡村】はい、もちろん。コーヒーマシンが置いてあって、自由に飲めます。12階に上がってもらえれば、「今日は(岡村)直樹さんがいるな」って分かる(笑い)。
【武中】こみ入った話をしたいというときはどうするんですか?
【岡村】役員用エリアは「すのこ」のようなもので緩やかに囲われています。完全に隔離状態にしたくありませんでした。いざという時にはすぐに飛び込める小さな密室も幾つかあります。

