「三方良し」の商売を

【武中】理念で判断していくというのは我々も同じ。まず患者さん、そして次に地域の方々に貢献できるのか。できるのであれば、多少ハードルが高くても、周りから反対されてもやり通す。そうでないならばやめましょうという考えです。加えて「三方良し」を判断基準にしています。

【岡村】売り手よし、買い手よし、世間よし、三方がすべて満足する商売こそが理想であるという近江商人の経営哲学ですね。

【武中】我々の場合は、まず患者さんにとって良いこと。次に病院で働く人間にとって良いこと。そして最後が病院として利益が出ること。この3つが揃っているならばやらねばならない。そして継続できるはず。

【岡村】継続といえば「医療のエコ」が我々のもう1つの共通項です。

【武中】(深く頷いて)岡村さんには釈迦に説法ですが、医療費、医療従事者のマンパワー、薬などの医療資源は有限。現在の医療体制を継続、維持していくためにエコロジー(環境)、エコノミー(経済)を意識しなければならない。そこでとりだい病院では、月に一度『エコワーキング』を開催しています。

いかに病院内の無駄を省くか

【岡村】どのような活動をされているのですか?

【武中】「Less Waste」(資源・経費の無駄を省く)「Local Collaboration」(地域連携)「Literacy」(知識啓発)「Long Life Design」(長寿命設計)という4つの「L」というキーワードで何ができるのか、検討しています。

やはり中心となるのは「Less Waste」。いかに病院内の無駄を省くか、です。卑近な話になってしまいますが、一番効果的だったのは電気代の削減でした。

病院の廊下に置かれているベッド
写真=iStock.com/LaylaBird
※写真はイメージです

【岡村】これだけの大きな病院になると大量の電気を使いますよね。

【武中】それまでも照明のLED化を進めていました。残りすべてをLED化し、さらに電気使用をチューニング(調整)する機器をとりつけたことで約2億円の削減になりました。あとは紙の廃止も進めています。

とりだい病院では「とりりんりん」というスマホアプリで予約確認、診察受付、後払いで完結できるシステムがあります。これまで予約票は、紙でお渡ししていたのですが、廃止しました。

【岡村】ぼくも可能な限り紙の廃止には賛成です。(手元のタブレットを持ち上げて)ぼくはこれだけ、です。自分のところには紙は持ってこないように指示しています。ただ、社内にはまだ紙をたくさん使っている社員がいることは分かっていますが(笑い)。

【武中】なかなか徹底は難しい。トップから始めることは大切ですよね。