決して珍しくない10本以上の加入

いろいろな付き合いがある中で、いくつも保険に加入している50代の人が多い。一般的な生命保険だけでなく、「年金払い積立傷害保険」やがん保険に2~3本入っていたり、合計10本以上の保険に入っているケースもある。

保険は一度入ると、「やめたら病気になるのではないか」といった不安が頭をもたげてくるもの。だからやめにくい。そこで保険見直しの相談の場では、「やめても大丈夫でしょうか」という問いに、社会保障などの具体的な数字を示すことで不透明感を払拭し、納得してもらえるようにしている。

この50代というライフステージは、子供の教育にメドがつき始め、家族のために入っていた保険を夫婦のための保険に切り替える時期である。ここでのポイントは、妻にお金を残すための死亡保障を確保する視点を持つことだ。

ずっと専業主婦を続けていた人が、50代半ばになって夫を失い、生活のために働き始めようとしても、大変難しい。なかには「団体信用生命保険で住宅ローンの残債は片付くし、子供が独立すれば、とくに死亡保険は要らないのではないか」と考える人もいる。しかし、年金が出るまでのつなぎとして、2000万円程度の死亡保障を妻に残しておいたほうがいい。

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保険見直しでメリットを受けられるラストチャンスを活かす

図のプランは55歳の男性が、この世代が加入していることの多い「定期付終身保険」を見直すものである。

同じ年齢の妻が65歳になるまでの10年間は死亡保障を確保したいところなのだが、少しでも保険料を下げたい。そこで終身保険部分のみを残し、定期特約と医療特約の部分を解約してしまう。そして新たに、夫の死亡後から妻が65歳になるまで毎月19万円支払われる収入保障保険に加入することにする。

するとどうなるか。見直し前のプランのままであると、80歳までの支払保険料の総額は316万1100円。それに対して65歳時点で収入保障と終身の保険料の払い込みが終了する見直し後のプランの支払保険料の総額は235万9320円で済む。差し引き80万1780円のメリットが発生するわけだ。

また、55歳時点での見直しによる特約の解約にともない、100万円程度の解約返戻金が出るので、老後の資金として貯蓄しておくこともできる。冒頭で指摘したように、50代は保険にいくつも加入しているケースが多く、それらを整理すれば保険料はさらに軽減できるはずである。