絶対に子どもをニートにしない秘策

私が自分の生活に対して不安を感じたのは、がんになったときです。40歳で乳がんが見つかり、右乳房を摘出・再建する手術を受けました。いまでこそこんなにも元気ですが、当時の医師からは「5年生存率は50%」と告知されたのです。

そのとき感じた金銭面での恐怖は、貯金の残額ではなく「1円も収入がなく、資産が減っていく」ということでした。当時の私は、病気療養のために仕事はしていませんでしたが、投資の配当金や原稿料などで毎月細々とした入金がありました。それがタイミングの問題で、ある月は1円も入金がなかった。これは非常にショックな出来事でした。仕事をリタイアした人と似たような体験ができたと思います。「財産が目減りしていく」状態が、こんなにも恐怖感を生むとは――。

それからは、配当金の受取時期をズラし、常にいくらかの入金があるように調整しました。リタイアするまでに達成すべきは「貯金額」ではなく、こういった仕組みづくりだと思います。デメリットやリスクが取り上げられるにもかかわらず毎月分配型の投資信託に人気が集中するのは、年金代わりに使えるという老後の安心につながるからでしょう。

わが家では、生活費はすべて夫のお給料でやり繰りするようにしています。一方、私の収入は投資や運用にあてています。私の仕事は、収入が多いときもあるとはいえ不安定ですし、仕事があまりにも集中するときは夫にブレーキを踏んでもらうようにしています。そんな自分の生活の基盤である夫に感謝し、外では極力夫を立てるように心がけているつもりです。実際に、それができているかはわかりませんが(笑)。

不景気なご時世で不測の事態に対する不安を抱く人は多いですが、病気に備えるならポンと支払える200万~300万円程度の現金があれば十分です。医療保険もモノによっては有効ですが、1日5000円の入院給付金の元をとるまでに、一体何日入院しなくてはいけないのでしょうか。それよりは病気になってからでも大丈夫ですので公的制度をしっかり勉強し、有効に利用するほうがお金と時間の節約になると思います。