反乱は悪い状況を改善する作用も持っていた

現代の組織では上に対する反乱を支持する主張はきわめて打ち出しにくい(Getty Images=写真)

これらの条件がそろったとき、チームの有力なメンバーが「今のリーダーは価値観を守ることに明らかに失敗しているので、新しい脅威に対処できるとは思えない」と主張できる状況が生まれるわけだ。

反乱が起こったら、当のリーダーはそれを突発的な出来事とみなしがちだ。だが、反乱に参加している人々の見方は違う。新設企業のチームと同じく、彼らは反乱の戦略プランをひそかに練り、それを周到に実行し、正義感や目的意識でリスクに対峙しているのである。そしてここに、われわれの研究の本当に意外な発見がある。反乱は通常、状況を改善するものだということだ。「反乱」という言葉の言外の意味やイメージからすると、改善作用を持つとはほとんどの人が思わないだろう。ポスト工業化時代の今では、反乱はタブーである。だが、大航海時代の文化においては、メンバーは悪いリーダーを退陣させるべきだとされていた。反乱は冒険的事業を救ったり、その成功を手助けしたりできるとみなされていたのである。

優れた船長は反乱のエネルギーを抑え込んで、それを事業のために使わせることができた。クリストファー・コロンブスは彼の最も有名な航海の間に3つの反乱に対処した。彼は1つ目の反乱を巧みに利用して乗組員のやる気を高め、陸地を発見したのである。悪名高い激しい反乱もいくつかあったものの、それらは例外的なものだったのだ。