どんな条件下で反乱が起こったか
●リーダーに問題がある
興味深いことに、同じ問題のあるリーダーでも、タイプによって反乱は異なる形をとる。たとえば、専門技能の面では頼りないが好感を持たれている場合には、部下はさほど計画性のない突発的な反乱によってリーダーを退陣させる。ヘンリー・ハドソンが今日のハドソン湾に置き去りにされた事件はその典型的な例だ。逆に、専門技能の面では卓越しているが好感を持たれていないリーダーの場合、部下は慎重に計画した戦略的反乱によってリーダーを引きずり下ろす。例としては、南米沿岸でのフェルディナンド・マゼランに対する反乱が思い浮かぶ(もっとも、この反乱は戦略の練り方が十分ではなかったようで、マゼランはそれを冷酷なやり方で鎮圧した)。
●チームの共通の価値が軽視されている
リーダーの行為がチームの共通の価値を脅かすとき、組織は社会的な火薬庫になる。大航海時代にはそうした共通の価値は、食糧の供給や質、乗組員の安全といった基本的欲求を中心としていた。現代の組織では、チームの共通の価値に対する攻撃は、意味や尊厳といった、より高次元の欲求を脅かすことになるだろう。だが、仕組みはまったく同じである。
●首謀者が強力である
反乱には、活力に満ちた協調行動が必要であるから、首謀者の役割はきわめて重要だ。冒険的な新設企業にとって創業者が重要であるように、反乱には信頼され、仲間を鼓舞することのできる首謀者が不可欠だ。
●外部環境が不確実で、前例のない脅威をはらんでいる
専門技能が足りないせいだろうと、人間関係能力が乏しいせいだろうと、悪いリーダーは、環境が不確実で前例のない行動が必要なとき、とくにお粗末な決定を下す傾向がある。組織にとっての脅威やチャンスは、その組織内部の反乱にとっては逆にチャンスである。したがって、反乱の計画・実行にとっては重要な要素になる。