人任せでは文化は変わらない
【田原】人に任せるのと、藤田さんがやるのでは、どこが違うんですか?
【藤田】企業文化が変わらないんですよ。社長の僕が広告事業を見ていたら、そっちの考え方が正しいということになります。僕がメディア事業に集中すれば、それが正しいということになる。
【田原】広告代理店とメディアでは、そんなに価値観が違うの?
【藤田】広告事業は企業向けの商売で、メディアのほうは消費者向けですから、一般の生活者に便利なものとか、おもしろいものをつくらなきゃいけません。
【田原】もうちょっと具体的に教えて。おもしろいものって、どういうことをおもしろいものっていうのですか。
【藤田】たとえば以前、浜崎あゆみさんの7日間限定ブログを展開しました。これがいきなり初登場でランキング5位になる。これはアメーバの中ではものすごいことなんです。
【田原】ページビューはどれくらい?
【藤田】数百万ページビューは確実にいってます。1000万超えているかもしれないですね。そのぐらいのページビューをあっという間に稼いでしまうというのは、やはりそれだけおもしろいコンテンツだと言えると思います。
【田原】でも、浜崎さんがブログを書いたのは、藤田さんが事業を見るようになったからじゃないよね。藤田さん自身は、具体的にどんなことをしたの?
【藤田】細かいところに関与するようになりました。大きな方向性を示して、あとは考えてくれと任せるんじゃなく、こうしてくれと指示したり、具体的なアイデアがなければ、その場で一緒に考えていくようにしました。たとえば、ここの絵文字は違うとか、この線はもうちょっと太くしようよとか、本当にそういう細かいレベルで。
【田原】藤田さんはもともと広告代理店で会社を大きくしたわけでしょう。メディアの経験はないのに、ここをこうすべきだとか、自信はあったの?
【藤田】うーん、どうでしょうね。そのころインターネットのサービスを流行らせた経験のある人は、きっと数えるほどしかいなかったと思うんです。それまでの経験は役に立たないわけだから、いままでのキャリアを捨ててもやり遂げるつもりでやりました。やれば意外とできるようになるものです。