【藤田】一切、お金は払ってないです。うちのサービスを使ってほしい、書くことについてお金は払えないけど、そのかわりに、商売を一緒につくりましょうと持ちかけました。

【田原】どういうことですか?

【藤田】たとえばタレントさんのブログの空いたスペースを広告枠にして、その広告の売り上げを折半する。そこの営業活動をけっこう頑張ったので、徐々に信頼してもらえるようになって、使ってもらえるようになりました。

【田原】世の中には、お客さんの信頼を得ようと頑張っている営業マンがたくさんいます。いったいどうすれば信頼が得られるようになりますか。

【藤田】約束を全部守るしかないです。たとえば「売り上げが上がりますよ」と言って上がらなかったら、「なんだ、嘘ばかりじゃないか」ということになる。芸能界は、そうした小さい約束もきちんと守ることがとくに大事です。

【田原】そういうご苦労をされて、すぐ会員は増えたのですか。

【藤田】アメーバを始めたのは2004年でしたが、07年まではあまり増えませんでした。ページビューでいうと、少なくても月間30億いかないと商売にならないのですが、あのころは5億くらい。このままではダメだということで、僕が直接、アメーバの事業をやることにしました。

【田原】どういうこと?

【藤田】僕が社長で、一番重要な事業はアメーバだと言っていたのですが、それまではアメーバを人に任せていました。当社はもともと広告代理店で、アメーバはメディア事業。会社としてメディアにシフトすると言っているのに、人任せでは何も変わらないことに気がついて、自分でやることにしたんです。