出張で1週間ほど欧州を訪れた。カバンに入っていたのは宿題であった本書ではなく、ヒトラーとワーグナー家の濃密な関係を掘り起こした大著だった。戦後60年を超してなお、第二次大戦に関する本が、新たに発見された詳細な資料をもとに、次々と公刊されている。

「民主党が政権をとって、どんなビジョンが公表され、何が変わるのか。その質問がいちばん困りますね」

出張先で会った、ロンドンやフランクフルトの友人は、苦笑いする。日本に居て、毎日、新聞を見ている私だって、そんな質問には答えられない。思い浮かぶのは膨大な公的債務が増す一方で、ひたすら「ばら撒き」による選挙対策くらい。官僚から政治主導へというスローガンにしても、変えることによってどんな経済政策や財政再建のビジョンを打ち出すのか、不明だ。