「自民党が都知事選告示前に行った世論調査によると、舛添要一氏が細川護煕氏にダブルスコアをつけて勝っていた。日本弁護士連合会前会長の宇都宮健児氏が脱原発などを掲げたため、反原発票が分断されたのが大きい。この差を選挙期間中に逆転するのは極めて難しい」(全国紙東京都知事選挙担当記者)

2月9日投開票の東京都知事選挙は、脱原発を掲げる細川護煕、小泉純一郎両氏の「元首相連合」が、政権与党の自公両党支持の舛添要一氏に挑む構図。浮動票頼みの細川氏に対し、自民党後援会や創価学会といった組織票を握る舛添氏が優位に立っている。

「自民党本部は選挙前の調査で細川氏に大差をつけていることがわかりホッとする一方、楽勝ムードで気が緩むことを避けるため“調査結果をあまり外部に漏らすな”と幹部が釘を刺しているぐらいです。ただし舛添圧勝が確実なのは投票率が50%程度のとき。投票率が70%近くになれば、大量の浮動票が細川氏に流れるため劇的な結果に結びつく可能性もあります」(前出選挙担当記者)

しかも相手は2005年の郵政選挙で自民党に歴史的大勝をもたらした“小泉劇場”の主役、小泉元首相。その“弟子”安倍晋三首相には、何をしてくるかわからないという恐怖感があるはずだ。

「普天間基地移設問題と原発問題は安倍政権にとって極めて重要な問題。ところが、普天間移設にからむ名護市長選では自民党の候補が敗北。もし都知事選でも自民党が負けたら、安倍政権への審判が下されたともいえ政権基盤が大きく揺らぐ。このため名護敗北の悪い流れを食い止めようと安倍官邸は必死。いつも冷静な首相の女房役の菅義偉官房長官が選挙前に“小泉さんをぶっ潰す”と発言し、感情的になっていたが、小泉劇場の怖さを知り抜いているからだ」(官邸関係者)

全国紙政治部デスクも言う。

「官邸と自民党は、選挙前から細川氏の高齢問題と佐川急便からの借り入れ問題をマスコミにどんどんリークしています。選挙前の世論調査で細川氏の支持が伸びなかったのは“細川氏は年寄りでダーティー”というネガティブキャンペーンが功を奏した面もあります」

とはいえ、選挙結果にかかわらず「即原発ゼロの小泉」というブランドはすでに定着しており、小泉氏の言動に首相が今後も手を焼かされるのは確実だ。

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