先日、G1サミットという、若手経営者の集まりに参加してお話しさせていただいたとき、印象深いことがあった。

新進気鋭の政治家として注目されている小泉進次郎さんがいらしていて、親しくお話しさせていただいた。やはり、将来の「首相」の器だと確信したのだが、その際に気づかされたことがある。

人を惹きつける人、人望のある人とはどういう人か?

それは、「自分の言葉」を持っている人だと思う。世の中ですでに手垢のついた言葉ではなく、自分の人生の中でつかんだ、元手のかかった、いわば「体重」の乗った言葉を発することができるか。

これは、簡単なことのようで、実際には難しい。自分の言葉で語ることができる人が少ないからこそ、そのような人はこの世の中で「希少価値」を持つ。だから、人気が出る。

小泉進次郎さんがG1サミットにいらしたのは、ちょうど、元横綱の大鵬さんが亡くなって国民栄誉賞を受けられると決まった頃だった。そのことをとらえ、小泉さんは、大鵬さんの素晴らしさを称えたうえで、このようなことをおっしゃったのである。

「大鵬さんの国民栄誉賞は素晴らしいが、一方で、国民栄誉賞というものは、社会の片隅で、誰にも知られずがんばっている、無名の方に差し上げてこそ本当に意味があるのではないでしょうか。

もうすでに誰もが知っている偉大な方に、改めて差し上げるよりも、無名の方に差し上げたほうが、私は、賞の意義があるように思う。

昔の子どもたちは、巨人、大鵬、卵焼きが好きだと言われました。もし、大鵬さんに国民栄誉賞を差し上げるならば、巨人や卵焼きにも国民栄誉賞を差し上げなければおかしい」