●2月18日 四十九日

相続放棄ができる期限まで1カ月半を切った。相続とは債務を含めた資産を引き継ぐことだが、一般に借金のほうが多い場合は相続を放棄する。その前提として、相続財産の総額を確定しなければならない。

このときに難しいのが、銀行口座の全容を知ることだ。曽根氏がいう。

「同居している方がお金の状況を把握しているならいいのですが、被相続人が1人住まいだった場合、取引口座が全部でどれだけあるかを確定するのに手間取ります」

いまの高齢者は、1990年代後半の金融危機の記憶があるため、ペイオフ対策として複数の金融機関に預金を分散する傾向にある。1人で10以上の口座を使っていることも珍しくないという。

他人名義の「名義預金」も厄介だ。

「かなり多くの方が、贈与のつもりで子どもや孫名義の預金口座をつくり、そこへまとまった額の預金を積んでいます。しかし贈与が成立するには、本人がその口座を日常的に使っているという実態がなければいけません。ですから、名義預金は税務署によって相続財産と認定されてしまうのですが、それを指摘するとびっくりなさるご家族が多いですね」(曽根氏)

知らぬ間に預貯金額が積み上がり、相続財産が相続税の課税ラインを超えていたり、払うべき税額が増えていたりすることも考えられる。

「いまの相続税調査は銀行調査が中心で、名義問題を曖昧にしておくことはできません。それを見越して、贈与の手続きを踏み、銀行口座の整理をしておくことが大切です」(曽根氏)