一極集中に向け、粛清はまだまだ続く
習政権の腐敗撲滅や粛清の断行は、中国の経済にマイナスの影響を与えることになるかもしれない。10月に習政権が開催する、共産党第20期中央委員会第5回全体会議(5中全会)では、規律問題を集中的に討議する可能性が高いようだ。党の中央委員会からの高級幹部の除名を確認し、欠員補充のために中央委員候補を昇格させる見通しといわれている。
来年の党大会に向け、習氏に一段と権力が集中する可能性は高い。中央や地方政府の官僚、共産党委員でもある主要企業の経営者などは、少なくとも表向き習政権に忠誠を示すはずだ。新たな取り組みを控える心理も、高まりやすくなりそうだ。
習政権の政策により、今後、政治の重要性が高まる一方、経済の重要性が低下するという傾向はさらに鮮明になるだろう。政府の指示に従い、AI関連分野での投資は累増し、いずれ過剰になる公算は大きい。また、綱紀粛正や思想教育の徹底、塾など教育産業への締め付けは、内需をより強く圧迫することになる。
富裕層の「脱中国」が意味すること
中国の経済成長率は、今後も低下するリスクが高まっている。すでに厳しさが増している若年層の雇用・所得環境は、これから一段と深刻な状況に向かう恐れは高い。地方政府の債務問題は深刻化し、年金や医療など地方財政に紐づいた社会保障制度への懸念や不満も高まるだろう。
都市と農村を区分管理する戸籍制度の壁や経済格差も、これまで以上に拡大することが予想される。いずれも個人消費の減少にとどまらず、社会心理の不安定化要因になる可能性は高い。
そうした展開を見越したのだろうか、過去10年程度の間、中国を後にする富裕層は増加した。富裕層の移住関連サービスを提供する企業の調査によると、2025年までの10年間、中国は世界トップレベルの富裕層純流出国だった。それに伴い、中国企業の海外進出(脱中国)も加速することが予想される。
今後、習政権の政策運営は、中国の経済と社会のダイナミズムを減殺することになるかもしれない。

