免疫力が低下すると体を守る力も落ちる
生活習慣を改めて、これらのリスク要因をとりのぞき(ピロリ菌感染は医療機関で除菌できる)、胃がん検診を受ければ早期に発見できるので、これもそれほど心配することはないでしょう。すい臓がんは、早期に発見しにくく、治癒率が低いがんとして知られています。1日7000歩/中強度活動15分で、すい臓がんが予防できるとわかったことは画期的なことではないでしょうか。
私たちの体を構成している細胞は、日々新しい細胞へと入れ替わっています。新しい細胞は古い細胞と同じ設計図(遺伝子)をもとにつくられるのですが、ときどき不良品(異常な細胞)がつくられることがあります。
このような異常な細胞は、1日に数千個も生まれているといわれています。そのため私たちの体には、異常な細胞ができていないかを監視して駆除する、免疫という防御システムが備わっています。感染症の原因となるウイルスや細菌を駆除するのも、免疫の働きです。
ところが、ときには免疫の監視をかいくぐって生き残る異常な細胞があります。この生き残った細胞が増殖して、大きくなったものががんです。このため、がんを予防するには、免疫が正常に働いているかどうかが重要になってきます。体の中では、さまざまな免疫細胞が働いていますが、最初にがんとなる細胞を異物とみなして直接攻撃するのがナチュラルキラー細胞(NK細胞)です。
運動習慣が便秘と大腸がんを防止する
NK細胞をはじめとして免疫細胞は、体温が下がると、その活性が低下することがわかっています。寒い季節は外気温が低いので、体温も低下しがちです。すると免疫機能が落ちて、免疫細胞がインフルエンザなどのウイルスを攻撃することができなくなり、感染者が急増するのです。
これに対して、運動には体温を上昇させる働きがあります。もちろん、長生き歩き(1日8000歩/速歩き20分)でも体温は上がります。中之条研究では、研究に参加した高齢者の血液を採取して、NK細胞の活性を調べていますが、長生き歩きを達成している人は、冬の寒い季節でもNK細胞が活性化されていることがわかっています。
運動ががん予防に効果的だというのには、いくつかの根拠がありますが、運動による体温の上昇はその重要な要素の1つなのです。
日本人女性に一番多いがんは大腸がんです(男性は2位)。お通じの悪い人は、大腸がんのリスクが上がるといわれていますが、運動すると便秘などが改善されて、お通じがよくなります。その結果、大腸がんのリスクも下がると考えられます。

