うつ予防になる歩数は「4000歩」

歩数を4000歩まで増やし、そのうち中強度活動を5分にすると、うつ病が予防・改善できます。中之条研究(※)で、うつ病になった人の身体活動計データを分析したところ、歩数も中強度活動もほとんど足りていないことがわかりました。

※筆者らが、群馬県中之条町の住民の健康状態を20年以上にわたり調べた研究

1日の歩数が4000歩未満、かつ中強度活動をほとんどしていない人で、気分がすぐれないと感じているなら、うつ病のサインかもしれません。うつの人は閉じこもり(引きこもり)がちで、ほとんど外出しません。外に出ないと、1日4000歩を歩くのはむずかしくなります。

また外出しないと速歩きができないので、中強度活動を行う機会も少なくなってしまいます。うつ病の予防や改善には、適度に日光を浴びることが有効です。20分程度外出するだけでも、効果があります。4000歩以上歩くとなれば、外出しなければまず達成できないので、日光(紫外線)の健康効果も期待できます。

また外出すると、人とのコミュニケーションの機会も増えます。外出先で誰かとちょっとした会話をするだけでも、うつ病の予防や改善に効果が期待できるでしょう。さらに、5分くらいでも中強度活動を行うことができれば、体温が上昇するので、よく眠れるようになります。それによって、規則正しい生活ができるようになり、活動意欲も増してくるのです。

認知症を防ぐ分かれ道は「5000歩」

歩数と中強度活動時間をさらに増やし、5000歩/中強度活動7.5分になると、認知症や心疾患、脳卒中が防げます。中之条研究では、1日5000歩/中強度活動7.5分以上を行っている人と、それ未満の人では、認知症や心疾患、脳卒中の発症率に明らかな差があることがわかりました。

加齢にともなって歩かなくなると、足腰の筋力が低下するだけでなく、脳細胞が不活性化されることもわかっています。これが認知症を引き起こす原因の1つとされています。また、心筋梗塞などの心疾患や、脳梗塞などの脳卒中は、後遺症が残ると、支援や介護が必要な生活になってしまいます。実際のところ、認知症や心疾患、脳卒中になると、要支援・要介護のリスクが高まることがわかっています。

これに対して、1日5000歩/中強度活動7.5分で、要支援・要介護が予防できることが中之条研究で明らかになりました。健康寿命とは、支援も介護もなしで日常生活を送ることができる期間のことです。健康長寿を実現したい人にとっては、1日5‌0‌0‌0‌歩/中強度活動7.5分がボーダーラインとなるでしょう。

なお、心疾患や脳卒中は高齢者に多く、死亡につながるおそれのある病気です。健康で長生きしたいのであれば、最低でも1日5000歩/中強度活動7.5分を日々の習慣にしてほしいと思います。