最近は介護食品も増やした。
「メーカーさんに商品情報を聞き、スタッフで試食してから置く商品を決めています。自分たちがいいと信じられるものじゃないと売れないですから」
今や4人に1人が高齢者の時代で、20年後は3人に1人になると予想される。高齢者の医療費が膨張するなか、自分で健康を管理する「セルフメディケーション」を国も後押しする。
一口に高齢者といっても、(1)健康な人、(2)持病がある人、(3)介護が必要な人では需要が違う。医薬品も、(1)は予防薬、(2)は治療薬と変わる。
ウエルシアHDの池野隆光会長は、自社のスタンスを次のように話す。
「病気の予防・治療と介護を軸にした“健康屋”なので、薬剤師を中心に店を運営しています。食品も手がけるが、たとえばふりかけなら小袋のカルシウムが多い商品を増やす」
そして語気を強めて続ける。
「ウチはコンビニじゃありません。お客様にひと声おかけする接客を徹底して『ウエルシアに行くと元気になる』と言われたいのです」
最近は高齢者の行動研究も始めた。
「全社を挙げて認知症の勉強会をしています。以前はお客様の求めに応じて目薬を売り、家族の方から『もう目薬を売らないで。冷蔵庫に目薬がたくさん入っている』と言われたこともあった。求められるから売るのではなく、お客様の尊厳を守りながらどう接客するか。そのためにも高齢者特有の症状を学ばないと」
「団塊世代」にも注目し、この世代の「健康意識の高さ」に対応できる売り場づくりをめざす。たとえば医薬品に近いレベルの健康食品もPB(プライベートブランド)として開発中だという。
27歳で埼玉県新座市に個人薬局を開いたのが池野会長の出発点だ。当時主流だったディスカウント店を研究したこともあったが、「売れればいいというのはちょっと違う」と思っている。