●托鉢でもらった500円玉のありがたさ。
――『プレジデント』1998年1月号
97年9月7日、稲盛は京都にある円福寺で得度する。11月に「大接心」という修行を行った。朝3時に起床、夜11時に就寝。食事は一汁一菜で、座禅や托鉢に努めた。托鉢に出かけた稲盛がある家の玄関でお経をあげると、おかみさんが出てきて「帰りに何か食べてください」と500円玉を渡してくれた。「稲盛財団に200億、300億と寄付してきた私ですが、その500円のありがたさを身に染みて感じました」と稲盛は話している。
●神や仏は、何事かをなした人を愛するのではありません。何事かなそうと努める人を愛するのです。
――『生き方』サンマーク出版
稲盛は「私のように意志が弱く、煩悩から完全に離れることができない人間は、ついに悟りに届くことはないだろう」と述べている。しかし、だからこそ、おのれの力のなさを反省し、倦まず弛まず努めなければならないという。そうした人にこそ、神や仏は手を差し伸べてくれるはずだから。
(AFLO=写真)