感情欠落の母親と婿養子の父親

母親の“発狂”は、その後もたびたび繰り返された。

「母は基本的に攻撃的なんです。母に口答えというかアドバイスというか、母の意思に反する発言をするだけで『私のことをいじめた‼』と認識して怒り狂うんです」

そして怒り狂いながら、「昔の彼氏のほうが良かった! 長男だったからって無理やり別れさせられた! あんな人(父親)嫌だ!」と叫び出すこともしばしば。そんな時、足立さんはただ嵐が過ぎるのを待つ他なかった。

「母は突然昔の彼氏のことを語り出すので、いつも聞かされているうちに詳しくなりました。聞いているとメンタル的にしんどくなるのですが、母は他人の気持ちがわからない人で、自分の父親をけなされる私の気持ちがわからないんだと思います」

そんなとき、その場に居合わせた父親は無言でいるか、ときどき「じゃあその人と結婚したらよかったんじゃない?」とこぼした。だが、祖父が必死に探し出し、ようやく婿養子に来た父親は、信じ難いことに祖父から虐げられていた。

「祖父は普通じゃありません。異様にプライドが高くて。貴族のような気持ちでいるんです。実際母の昔の彼氏に、『うちの娘が嫁にほしいなら、収入はわしの2倍以上で、新居を建ててもらわなきゃやれん』って言ったそうです。でもわが家は貴族でも武士でもなんでもないんですよ」

給料全額を母親に握られていた父

婿養子に来た父親は、祖父母には召使のように邪険に扱われ、公務員として働いた給料はほぼ全額を妻に握られていた。新婚当初から母親は料理以外の家事を一切やらず、買い物は仕事の帰りに、掃除や洗濯は休日や帰宅後に父親がやっていた。足立さんが乳幼児だった頃、子育ては母親一人ではできず、母親は実家に入り浸り、祖母に手伝ってもらっていたようだ。

シンクいっぱいに積み重ねられた汚れた食器
写真=iStock.com/NickyLloyd
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「私自身、祖父母には注意された記憶しかなく、かわいがってもらっていたのかわかりません。祖父も祖母も、よく考えたら母と同じく、喜怒哀楽の“怒”しかない感じで感情が欠落していて、わがままでした。お金の面では学費とか習い事の費用などを出してくれていましたが、それは私をかわいがるというよりは、“私立中学に通う孫”とか“○○ができる孫”とかいう世間体のためだったかもしれません。その証拠に母と私が喧嘩をすると、2人は必ず母の肩を持って、私だけが怒られました」