子持ち世帯の平均年収は857万円
「児童のいる世帯」数は3割減なのに、平均年収は18%増。これは、要するに年収が高い上位層しか子どもを持てなくなったことを示しているからです。
よりわかりやすく、所得金額階級別に2000年と2025年の分布を示したものが図表2のグラフです。
一目瞭然ですが、年収700万円以上の場合はそれほど増減ありません。減っているのはそれ未満の年収帯だけで、特に減少が著しいのは年収300万~600万円あたりの中間層です。つまり、「児童のいる世帯」の減少は中間層の若者が子どもを持てなくなったことに尽きるわけです。
この「結婚と出産のインフレ」現象は、2015年以降に急激に進行しました。若者が「金がないから結婚できない・子どもを持てない」ということに対し、「そんなのは言い訳だ」と聞く耳を持たない層が一定数いますが、実体として「金がある者しか子どもを持てていない」のだから、ここをいつまでも認めようとしないほうがどうかしているでしょう。
“必要な収入”は約10年で1.4倍に
SMBCコンシューマーサービスの調査で、20代の若者に「子どもを1人持つために必要な年収」を聞いているものがあります。「年収は関係ない」と回答しているものを除外して中央値を計算すると、2014年は517万円だったものが2026年には722万円まで1.4倍にも上昇しています。当然、彼らの実際の給料がそれほど上昇しているわけではありません。重要なのは、まだ結婚する前の若者が、「これだけの条件がそろわなければ結婚も子育てもできない」という心理的ハードルのインフレにまで進んでしまっていることです。
このような意識インフレを誘発させた要因は、皮肉にも「子育て支援」一辺倒の政府の少子化対策と無縁ではありません。子育て支援そのものを否定しませんが、子育て支援に予算を投じても、それが新たな出生に結びつかないことは証明されています。日本だけではなく、世界の少子化の専門家も同様の論を展開しています。
子育て支援を充実させればさせるほど、かえって一人あたりの子育てコストを高騰させます。ひるがえってそれは、これから結婚・出産を控える若者たちへの経済的高い障壁となって未婚化を進めるというものです。実際そうなっています。


