成績が伸びない、子供が勉強しない、といった悩みや受験校選びなどの相談は遠慮せずにどんどん塾にぶつける。面談時でなくても、電話やメールで普段から愚痴を聞いてもらう。受験直前で切羽詰まったら、先生の前で感情を出して泣いたっていい。鳥居さんはそう考えている。
「先生が母親の不安な気持ちを受け止めてくれる精神安定剤になれば、過酷な勉強をしている子供に優しく接することもできるんです」
一切の遠慮なしに相談してほしい、と富永さんも同意する。
「例えば、子供の反抗期が始まっていると保護者から聞けば、私たちも子供への接し方が変わってきます。塾とコミュニケーションをして、母親が塾に愛着を持ってくれれば、子供も塾の方針に従ってくれます。塾と保護者間のそうしたやりとりは、本番の試験では点数として反映されます」
富永さんとしては、母親に泣かれると、「正直困る(笑)」そうだが、月謝にはそうした母親へのケアも含まれている。この際「モンスターペアレント」と言われるのを怖がらないこと。保護者が塾に遠慮して得をすることは何もないのだ。
「大手塾では、わが子の個人的な相談はしにくいと思うかもしれません。しかし子供の成績が伸びないからこの塾は相性が悪いと、塾と話し合いを持とうともせず転塾してしまうと、何が原因で成績が上がらないのかがわからないまま。同じことを繰り返す可能性もあります。塾によって環境や先生の方針は違うので、転塾で一番振り回される子供です。戦略があっての転塾はいいと思いますが、安易な転塾や個別指導塾の追加を考えるのではなく、今の塾を使い倒すほうが賢明です」(富永さん)
○【合格ママ】一つの塾の方針に従う「一神教」タイプ
×【残念ママ】転塾や個別指導、家庭教師に手を出す「多神教」タイプ