「女性俳優」表記が意味すること

フジテレビは声明のなかで次のようにも述べている。

当社は、過去に辛い経験をされた方に対して、それによる不自由や制限を当然に受け入れるべきだという意見には与しません。そのような言葉を投げかけることこそが、二次加害や誹謗中傷に他ならず、人権尊重を掲げる当社としては、そのような行為を許容することはできません。

私が今回、最も解せないのは、この点である。

「今回の記事の掲載について、関係者のプライバシー侵害や二次被害に繋がるおそれが高いものと考え、掲載中止を強く申し入れました」と前置きしている一方で、上記の記述からは、「女性俳優」が「過去に辛い経験をされた方」であると、とらえられるのではないか。

いや、それは私の読解能力が劣っているせいに違いない。目が曇って曲解をしているだけに相違ない。フジテレビとしては、あくまでも、どこまでも「プライバシー侵害」を避けた上で、親会社FMHの「人権方針」に沿って表明している、きわめて真摯な態度だと言わなければならない。

ノートパソコンのキーボード上に南京錠
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結果的に「誰も守れていない」

それでも、この声明を読む限り、前の段落とのつながりを踏まえると、上記の「過去に辛い経験をされた方」が「女性俳優」を指すように受け取るほかないのである。何より「女性俳優」や「男性俳優」という、匿名表記ではあるものの、今回の報道状況を踏まえると、多くの読者にとって、実名をたやすく想起させるからである。

「掲載中止を強く申し入れ」た立場からすれば、実名で記すわけにはいかないとしても、「関係者のプライバシー侵害や二次被害に繋がるおそれが高い」のであればなおさら、実名で明らかにすべきではないか。なぜなら、フジテレビの声明(だけ)を読む限りでは、「女性俳優」も「男性俳優」も誰なのかは、まったくわからないからである。

実際、ネット上では、「関係者のプライバシー侵害や二次被害」というほかない、さまざまな憶測が飛び交い、早期の収拾は難しいありさまである。

となると、フジテレビは、「加害者」はもとより「被害者」の「人権尊重」さえしていない、そのような結果を招いているようにさえ映る。すると、誰の「人権尊重」をしているのか。この点こそ「人権方針」の理念との整合性を考えるうえで最大の論点ではないか。