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もう1つ、女性のキャリア断絶を防ぐうえで検討に値するのがオランダ型の雇用形態相互転換の仕組みです。オランダでは従業員の希望により、企業のなかでライフサイクルに合わせ働き方をフルタイムとパートタイムに相互転換できる仕組みが導入されています。

この制度が導入されると、子供が小さいうちは保育園のお迎えに間に合うかどうかで悩まないようパートタイムで働き、大きくなったら再びフルタイムで頑張るといった働き方が可能になるでしょう。

ただ、いくら環境整備をしても、どれだけの女性が役員になりたいと思うか、という問題があります。

上司は「この女性社員は頑張っているので幹部に育成したい」と思っても、過去に結婚や出産で退職した経験があるため、本当に幹部になるまで頑張ってくれるのか不安に感じる面があります。

逆に出世意欲のある女性も上司の態度を見て、「最後まで一生懸命頑張りたいと思っているのに」と不信感を持つ側面があります。

重要なのは、女性社員が自分はどうしたいのか、企業へ正確にシグナルを送ること、そして企業がそれを聞き入れる体制を整えること。長時間労働がシグナルの役割を果たしているというのが現状です。今後はそれを見直すことも必要でしょう。

(構成=宮内 健 写真=Getty Images)
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